ねえ
ぼくはにんげんじゃないんです
ほんとうにごめんなさい
そっくりにできてるもんで
よくまちがわれるのです

ぼくはにんげんじゃないんです
じゃあなにかときかれましたも
それはそれでかいもく
けんとうもつかないのです

みためがにんげんなもんで
みなひとなみにあいてしてくれます
ぼくもきたいにこたえたくて
ひびどりょくをおしまないのです

えがおとどうじょうとけんそんと
じこぎせい、あさきしょうにやさしさと
ゆうにいちおくはこえそうな
ひつようじこうをいきるのです

しかしまったくもってそのかいもなく
けっきょくものまねはものまねでしかなく
ひとり、またひとりとさってゆき
にんげんがはがれおちるのです

たいせつなひとをしあわせにしたり
おもしろくもないことでわらってみたり
そのうちいまどんなかおのじぶんか
わからなくなるしまつです

ぼくはにんげんじゃないんです
ほんとうにごめんなさい
そっくりにできてるもんで
よくまちがわれるのです

ぼくはにんげんじゃないんです
じゃあなにかときかれましたも
それはそれでかいもく
けんとうもつかないのです

ぼくもいつのひにかほんとうの
にんげんになれるんじゃないかなんて
そんなゆめをみていました
ゆめをみてました

ほどよくてきとおにいきながら
ほどよくまじめにはたらきながら
ぜんぜんだいじょうぶなふりしながら
たまになみだながしながら

てにいれたしあわせはわすれるわ
じぶんのことばかりたなにあげるわ
おこらせ、いらつかせ、かなしませ
ぼくはいったいだれですか

どうせこんなことになるのなら
はじめからぼくのすがたかたちを
にんげんとははるかほどとおいものに
してくれればよかったのに

だれかのためにいきてみたいな
うまれたいみをのこしてみたいな
このきにおよんでまだにんげんみたいなことをぬかしているのです

にんげんとしてしょほちゅうのしょほうを
なにひとつとしてできないままに
よくもまあそんなきになれたもんた
おこるのもごもっともです

ぼくはにんげんじゃないんです
ほんとうにごめんなさい
そっくりにできてるもんでよく
まちがわれるのです

ぼくもにんげんでいいんですか
ねえだれかこたえてよ
みようみまねでいきてる
ぼくをゆるしてくれますか

ぼくはにんげんじゃないんです
ほんとうにごめんなさい
そっくりにできてるもんて
ばったもんのわりにですか
なんどもあきらめたつもりでも
にんげんでありたいのです

Composição: Noda Yojiro / Yojiro Noda